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Chen, J.*; 坪川 紀夫*; 前川 康成; 吉田 勝
Carbon, 40(9), p.1597 - 1617, 2002/08
被引用回数:21 パーセンタイル:73.45(Chemistry, Physical)エチレンとエチレンオキサイドの結晶性ブロック共重合体を放射線架橋したカーボンブラック複合体のセンサー性能を溶媒蒸気に対する応答特性から評価した。ガスセンサーの電気抵抗値は、非極性溶媒であるシキロヘキサン蒸気に応答し、10,000倍まで上昇した。しかしながら、センサー応答性は、ブロック共重合体の分子量(575~1750)の違いによって著しく異なることがわかった。この応答性の違いを電子顕微鏡による物理的構造の変化から観察したところ、溶媒の吸着による複合体中の迷細孔構造の違いに起因していることが明らかとなった。また、この複合体は、繰り返し処理に対し可逆的な応答性を示した。
小倉 紘一*; 浅野 雅春; 安田 仲宏*; 吉田 勝
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 185(1-4), p.222 - 227, 2001/12
被引用回数:32 パーセンタイル:88.99(Instruments & Instrumentation)放射線感受性の高い素材の開発を進めているが、ジエチレングリコール・ビス・アリルカーボネート(CR-39)に感温材料で知られているN-イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)を少量添加した共重合体(TNF-1)がLETで10keV/mの粒子を検出できることがわかった。また、このTNF-1は27MeVのプロトンも検出できた。このようなTNF-1はCR-39/NIPAAm(99/1)中に0.01%の酸化防止剤(ナウガード)を添加し、70で24h反応させて作製した。得られたTNF-1は透明な1mm厚さのプラスチック板であった。この論文では、このTNF-1を用いて宇宙線測定,中性子測定そして重粒子線による癌治療時のモニタリングなどのドシメトリーについて検討し、従来素材のCR-39(TD-1)と比較した。
K.Bahari*; 三友 宏志*; 円城寺 太郎*; 吉井 文男; 幕内 恵三
Polym. Degrad. Stab., 61, p.245 - 252, 1998/00
被引用回数:40 パーセンタイル:79.34(Polymer Science)生分解性ポリマーの3-ヒドロキシブチレート重合体(PHB)及びその共重合体の成形中の熱安定性を改善するため、スチレン(St)の放射線グラフト重合を行い、熱安定性と生分解性を調べた結果、次のようなことが明らかとなった。(1)熱安定性が10%のような低グラフト率で著しく改善できた。(2)グラフト重合による熱安定性は、PHBよりも共重合体の方が効果的であった。これはグラフト重合が非晶領域に優先的に起こるため、非結晶領域の多い共重合体の方がグラフト鎖をより均一に分布しているためと考えられる。(3)酸素分解性は、Stのグラフト重合により9%のような低グラフト率でも疎水化するため低下する。
吉井 文男; 幕内 恵三; 円城寺 太郎*; 板倉 武*; 三友 宏志*
Proc. of RadTech Asia'97, p.825 - 827, 1997/00
ポリ(3-ヒドロキシブチレート)共重合体(バイオポール)、ポリブチレンサクシネート(ビオノーレ)及びポリビニルアルコール・澱粉ブレンド(マタビー)の生分解性を加速するため、照射効果を調べた。生分解性は、酵素水溶液及び土壌埋設中の微生物の分解による力学的性質の低下及び重量減少から評価した。未照射粉末バイオポールは、酵素(リパーゼ)により、12時間の処理で30%の分解に対し、50kGy照射したものは、同じ処理で80%分解した。土壌埋設試験では、試料の重量減少より力学的性質の低下の方が顕著に現れる。50kGy照射では、2か月埋設で、重量減少はわずかであるが、伸びや強度はなくなり、脆いものになる。このように、照射による分解が、その後の生分解を促進することが確認できた。
玉田 正男; 浅野 雅春; Spohr, R.*; Vetter, J.*; Trautmann, C.*; 吉田 勝; 片貝 良一*; 大道 英樹
Macromolecular Rapid Communications, 16, p.47 - 51, 1995/00
被引用回数:8 パーセンタイル:42.86(Polymer Science)メタクリロイルアラニンメチルエステル(40%)とジエチレングリコール=ビス=アリルカーボネート(60%)から作製した共重合体膜に13.6MeV/nucleonのエネルギーの金イオンを1cm当り10コ照射した。次いで照射した膜を60Cの6N NaOH溶液で7分間エッチングの後、25Cの1N NaOH溶液で加水分解した。得られた多孔質膜中の孔径にはpH依存性が認められた。すなわちpH3の緩衝液中で3.7mであった径はpH5の緩衝液中で完全に閉じた。
G.Meligi*; 吉井 文男; 佐々木 隆; 幕内 恵三; A.M.Rabie*; 西本 清一*
Polym. Degrad. Stab., 49, p.323 - 327, 1995/00
被引用回数:8 パーセンタイル:42.86(Polymer Science)包装材に用いられているポリプロピレン(PP)は、柔軟性を付与するために、エチレンとの共重合体(CPP)がよく使用されている。本報告では、照射したCPPの屋上暴露試験による分解性を調べた。伸びによる分解性の評価は、照射直後の伸びが半分になる月数(H)から、PPとCPPの分解性を比較した。未照射CPPのHはPPとほぼ同じ5ヵ月であった。30kGy照射したCPPのHは2.8ヵ月でPPは1.7ヵ月であり、CPPはPPと同じ分解になるのに1.6倍の月数を要した。CPPの分子量の低下は、PPとほぼ同じであった。これは、照射前のモルホロジーに起因し、CPPは球晶間を結んでいるタイ分子鎖が長いのと数が多いために、PPと同じ分子切断でも伸びの低下が少ないものと考えられる。
三友 宏志*; 森下 憲雄; 土肥 義治*
Polymer, 36(13), p.2573 - 2578, 1995/00
被引用回数:49 パーセンタイル:87.44(Polymer Science)微生物から抽出して得たポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバリレート)(P(3HB-co-3HV))共重合体をアセトン-水系溶液を用いて分別精製した結果、この共重合体はさまざまな3HV組成をもつランダム共重合体の混合物であることが分かった。分別した共重合体は3HV組成が36mol%以下ではP(3HB)結晶相のみが、また56mol%以上ではP(3HV)結晶相のみが観測され、36~56mol%ではP(3HB)とP(3HV)の両結晶相が共存し相手成分を結晶内に取り込み共結晶化しているが、融点は単一であった。共重合体の融点は40mol%3HVで極小点を示す共融現象が見られた。分別した共重合体の非晶および結晶密度が初めて求められ、これを用いることによって試料の密度測定から結晶化度を求めることができた。この値はX線結晶化度とほぼ同様な値となり、共重合体の結晶化度の組成変化を明らかにすることができた。
江川 博明*
PNC TJ6614 92-001, 20 Pages, 1992/03
カナダ産ウラン鉱石酸浸出液中のウランを分離・回収するプロセスの開発を目的として、大過剰のニッケル及びヒ素の共存下においてウランを選択的に吸着するキレート樹脂の開発を行った。前記酸浸出液の液性等を考慮し、本研究室における従来の研究成果を基に、巨大網状構造(MR型)を有するスチレン-ジビニルベンゼン球状共重合体(RS)にホスフィン酸基およびホスホン酸基を導入したキレート樹脂を合成した。ホスフィン酸基を有する樹脂RSPはRSを無水塩化アルミニウム存在下三塩化リンと反応させ加水分解して合成し、ホスホン酸基を持つ樹脂RSPOはRSPのホスフィン酸基を硝酸で酸化して合成した。またRSにメチレン基を介してホスホン酸基が結合した構造の樹脂RCSPは、RSをクロロメチル化したのち、無水塩化アルミニウム存在下三塩化リンと反応させ加水分解して合成した。これらの樹脂を充填したカラムに、カナダ産ウラン鉱石酸浸出液を通液した場合、ウランとモリブデンは各樹脂に強く吸着されるがニッケルとヒ素は殆ど吸着されないことが判った。すなわち、酸性度の調製など特別な前処理なしで、カラムへの通液のみによりウランをニッケルとヒ素から分離可能である。ウランの破過吸着容量はRSPRSPORCSPの順に増大した。また吸着されたウランとモリブデンの分離も容易である。1M水酸化ナトリウム溶液を通液すれば、モリブデンのみが迅速かつ定量的に溶離される。一方、ウランは0.2M炭酸ナトリウム溶液または1M塩酸溶液で溶離可能である。しかしこの条件ではまだウランの回収が定量的ではないので、最適溶離条件の探索が必要である。比較の目的で、代表的な強酸性陽イオン交換樹脂SP120(MR型)及びSK104(ゲル型)による同様の検討を行ったが、ウランの選択的分離は不可能であった。 以上本年度は、本研究で開発したキレート樹脂、特にRCSPがカナダ産ウラン鉱石酸浸出液中ウランの高選択的分離・回収に有効に利用できることが明かになった。
松本 史朗*
PNC TJ1609 91-002, 48 Pages, 1991/03
再処理施設から放出される放射性廃棄物の環境影響評価は、これまでソースターム、放射性物質の環境中での移行等を考慮したモデルによる評価がなされてきた。今後、より現実的な評価を行う観点から、施設から放射性廃棄物の物理・化学形態、また、環境中でのこれら物理・化学形態の変化が、その環境影響評価に与える影響について調査することが必要と考えられる。使用済燃料の再処理において発生する放射性気体には、3H、14C、85Kr、129I、131Iなどの気体状放射性物質が含まれるが、被爆線量当量は129Iが最も大きく、ヨウ素の施設内および環境中での挙動が極めて重要と言える。ヨウ素は軽水炉燃料中ではペレット中にヨウ化物(主にCsI)として均一に分散されていると考えられている。燃料の溶解工程では酸化ウランの硝酸による溶解の際に生成される亜硝酸によって酸化され、I2としてオフガス中に大部分が放出されるが、一部は溶解液中に残存する。残存ヨウ素は共除染工程以後の工程にとり込まれ、有機ヨウ素の形態で槽類オフガス中へ移行すると考えられている。また、高レベル廃液には242Cm、244Cmが含まれていることから、これらの核種は自発核分裂によって131Iを発生する。従って、ヨウ素の除去のみならず、放出時のヨウ素の物理・化学形態を知る上でもヨウ素の再処理プロセス内の挙動を的確につかまえておくことが必要である。本調査研究では再処理施設の工程内を主対象としたヨウ素の挙動について、最近の文献を中心に調査し、その概要をまとめた。また、最近開発された疎水性ヨウ素吸着剤の特徴およびその利用についての考え方をまとめ、ヨウ素の再処理工程内および環境中での物理・化学形態を検討することにする。
A.Safranj*; 大道 英樹; 岡本 次郎
Radiation Physics and Chemistry, 29(1), p.57 - 63, 1987/01
テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体のテトラヒドロフラン溶液を真空中で照射し、ゲル濾過クロマトグラフィ、赤外吸収スペクトル、質量分析などにより、分子量および分子量分布、化学構造の変化などを調べた。ポリマー濃度が濃厚な場合は照射によって主として橋かけ反応が進行するが、濃度を低くすると共に主鎖切断の寄与が大きくなった。希薄溶液の照射では共重合体中にメチレン基、ビニル基などが生成した。発生ガスの大部分は水素であり、微量成分として、メタン、エチレン、一酸化炭素、二酸化炭素などを検出した。以上の結果より、希薄溶液におけるテトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体の化学構造の変化および分子量の低下は、主として溶媒テトラヒドロフランのラジカルの作用によるものであると結論した。
吉井 文男; 幕内 恵三; 石垣 功
Angewandte Makromolekulare Chemie, 143, p.75 - 83, 1986/00
被引用回数:7 パーセンタイル:44.9(Polymer Science)ポリプロピレンの単独重合体とエチレンを6%含有する共重合体の線と電子線照射による分子量と融解挙動を調べた。線照射した試料は、電子線よりも分子量の低下が大きく、機械的物性の結果とよく対応した。エチレンを含む共重合体は、照射による機械的物性の低下が単独重合体よりも小さいにもかかわらず、分子量の減少は、単独重合体と同じであった。熱測定では、エチレンを含むと、単独重合体よりも低い温度から融解を開始し、ピーク温度も低い。これらのことから、エチレンはポリマークの形態を変えるが、照射中の分子切断を抑制する作用はないことが分った。したがって、照射したポリプロピレンの機械的性質にはポリマーの形態が極めて重要であることが明らかとなった。
吉井 文男; 貴家 恒男; 幕内 恵三; 石垣 功
医科器械学, 56(3), p.102 - 107, 1986/00
プロピレンの単独重合体とエチレン鎖を6%含む共重合体の耐放射線性は、成形条件により大きく異なる。熱溶融ポリマーを-60Cのメタノールや水の中で冷却した試料は、冷プレスで冷却した徐冷試料に比べて著しく耐放射線性が優れていた。特に急冷の効果は単独重合体に顕著に現われた。粘弾性測定から、急冷試料のモルホロジーは、徐冷に比べて結晶部の分散と非晶部の分散の分離が不明瞭であり、かつ結晶化度が低かった。一方、との分離のよい試料は耐放射線性が極めて低かった。したがって、放射線滅菌における医療用具としてのポリプロピレンは、結晶部と非晶部の分離が不明瞭な比較的結晶化度の低いものが良好であることが明らかとなった。
森田 洋右; 萩原 幸
JAERI-M 83-119, 44 Pages, 1983/08
軽水炉型原子力発電所用電線・ケーブルは高度の難燃性に加えて、熱および放射線に対する安定性、さらにLOCA環境においても十分な性能を保持することが必要とされている。上述のような要求を満足する一般用の難燃耐放射線性有機絶縁材については、すでにJAERI-M-82-057に報告した。本報告はこれにひきつづき180C耐熱グレードの高温用炉用絶縁材料の開発を目的として、耐熱性の高いゴム材料であるジメチルシリコーンゴム(DMS)のブレンド法による耐放射線化を検討した。DMSと他種ゴム(エチレン-プロピレン-ジエン共重合体ゴム(EPDM)およびテトラフルオロエチレン-プロピレン交互共重合体ゴム(Copoly(TFE-P))とのプレンドによってDMSの耐放射線性は向上し、さらに、ブレンドゴムの中でも耐熱性と耐放射線性を兼ね備えたDMS-Copoly(TFE-P)ブレンドゴムについて、これを絶縁体とした電線を作製して、PWR模擬環境劣化試験(熱処理(220C、4日間)放射線照射(200Mrad)水蒸気暴露(150C、1日間))を行ないその性能をたしかめた。
森田 洋右; 萩原 幸
高分子論文集, 40(10), p.683 - 690, 1983/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Polymer Science)ジメチルシリコーンゴム(DMS)の耐放射線性の向上を目的として、DMSと他種ゴムとのゴムブレンドを検討した。耐放射線性は成形したゴム試料にCo-線を照射し、引張試験および動的粘弾性測定を行ない評価した。DMSとエチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)とのブレンド物では、EPDMの耐放射線性が優れているためにEPDM量が増すにつれてブレンド物の耐放射線性も単調に向上した。これに対し、DMSとテトラフルオロエチレン-プロピレン交互共重合体(Copoly(TFE-P))のブレンド物の耐放射線性は容積比約1:1のところで極大を示した。これは放射線照射により、DMS中に細かく分散したCopoly(TFE-P)は酸化劣化して軟化し、一方DMSは架橋して硬化するために、ブレンド物では両者の物性変化が互いに補償しあって高線量照射(100~200Mrad)においてもゴム的性質を保っていると結論された。なお、DMSの耐放射線性は50~70Mradである。
森田 洋右; 萩原 幸
J.Appl.Polym.Sci., 27, p.3329 - 3339, 1982/00
被引用回数:5 パーセンタイル:35.87(Polymer Science)難燃剤として臭素化アセナフチレン(BACN)及びその縮合体(con-BACN)を合成した。合成法はZnCl-CFCOOH又はFeClを触媒としてアセナフテンを臭素化し、その後脱臭化水素した。ZnCl-CFCOOHを触媒として用いた場合、主たる生成物は臭素化アセナフチレンであり、FeClを用いた場合の主成分は縮合体(3量体が主)であった。BACN及びcon-BACNによりエチレン-プロピレン-ジェン共重合体(EPDM)を難燃化し、酸素指数法、垂直燃焼試験法で評価した。これらは、市販の臭素系難燃剤(例えば、デカブロムジフェニルエーテル)を用いた場合よりも、高い難燃性を示した。この高い難燃化効果はBACN,con-BACNのEPDM中への均一分散性、EPDM中での重合性またはグラフト反応性、及びEPDMの熱分解する全領域にわたって難燃原子(Br)を放出する熱分解特性に起因すると結論された。
森田 洋右; 萩原 幸; 荒木 邦夫
J.Appl.Polym.Sci., 25, p.2711 - 2719, 1980/00
被引用回数:8 パーセンタイル:47.96(Polymer Science)原子炉用電線ケーブルのための難燃性絶縁材料の開発を目的に、特に新しい試みとして重合性難燃剤によるエチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM,汎用絶縁材)の難燃化法について検討した。重合性難燃剤として、新たに臭素及び臭素,リンを含有するビニル重合型難燃剤を合成した。これらを、ベースポリマーであるEPDM,難燃助剤である三酸化アンチモン,ラジカル発生剤やその他の添加物と混合し加熱成型することによって、難燃剤をベースポリマー中で重合させた。その結果、(1)従来使用されている添加型難燃剤にくらべ、同一臭素含量において著しく高い難燃化効果を示す重合性難燃剤がえられた。(2)EPDM中に生成した難燃剤ポリマー量が多いほど(難燃剤の重合性が高いほど)高い難燃化効果を示した。(3)難燃剤が重合して生成したポリマーとEPDMの熱分解温度がほぼ等しい場合に、難燃化効果が顕著である。ことが判った。
石垣 功; 森田 洋右; 西村 浩一; 森下 憲雄; 伊藤 彰彦
J.Appl.Polym.Sci., 23(11), p.3383 - 3394, 1979/00
被引用回数:2ヨウ素を開始剤としたテトラオキサン-1,3ジオキソラン-メチラール系の固相重合により得た共重合体の分子量分布をGPCにより測定し、体系の反応機構を考察した。共重合体の分子量分布は、1,3ジオキソラン(DOL)-メチラール(MAL)溶液の系への添加方法およびポリマー粒子の大きさに強く依存することがわかった。DOL-MAL溶液を反応系に1度に添加した物合には、ポリマーの分子量分布は低分子量側と高分子量にピークを有するブロードな分布曲線を与え、一方、反応の進行に応じて分割するか連続的に添加した場合には、分布曲線は単一ピークになった。また、DOL-MALを1度に添加した物合にはポリマーの粒子の大きさにより分子量分布に差が生じたが、分割または連続添加系では粒子依存性は少なく均質なポリマーが生成していることが判った。これらの結末から、本系では反応はテトラオキサン結晶の表面から内部へと進行していることが示唆された。
渡辺 博正; 松田 修; 町 末男; 岡本 次郎
JAERI-M 7834, 83 Pages, 1978/09
テトラフルオルエチレン-プロピレン放射線乳化共重合反応を槽型反応器を用いて連続操作によって行なった。今回は装置特性、特に長時間運転における、温度、圧力、モノマーガス組成、モノマーガス循環、ラテックス循環の制御性を明らかにするとともに、反応速度、共重合体の分子量とそれらの関係に重点をおいて運転を行なった。運転はいくつかのトラブルを伴ったが、適切な処置により順調に行なうことができ、設計時の特性を十分に満足させるものであった。
渡辺 博正; 山口 康市; 岡本 次郎
JAERI-M 7621, 22 Pages, 1978/04
放射線法と化学法で得られたテトラフルオルエチレン-プロピレン共重合体の分子構造を比較するという観点から、この共重合体を溶解抽出法で分別し微細構造について検討した。放射線法で得られた共重合体の分別試料の極限粘度〔〕と数平均分子量Mnとの関係は〔〕=3.9710Mnであり、放射線法による末分別試料の場合と異なり化学法により得られた分別、未分別試料の〔〕とMnとの関係と一致することが明らかとなった。しかし,GPC法による溶出挙動には差異は認められず、標準ポリスチレンの溶出挙動と一致した。したがって長鎖分枝の極めて少ない共重合体であると結論できる。また、連続重合装置により製造された、この共重合体について反応条件と分子量、分子量分布との関係を明らかにするため、GPC法によってそれらを測定し、時々刻々変化する分子量と分子量分布を評価するための解析法を確立した。
渡辺 博正; 岡本 次郎
JAERI-M 7548, 30 Pages, 1978/02
テトラフルオルエチレン-プロピレン乳化共重合反応を速度論的に解析したり、最適反応条件を選択するうえで、共重合体粒子中のモノマー濃度やモノマー組成と実験条件との関係を明らかにすることは極めて重要である。ここではテトラフルオルエチレンとプロピレン、あるいはそれらの混合物の水およびラテックスに対する溶解性を調べ、共重合粒子中のモノマー濃度およびモノマー組成を推算した。その結果、粒子中のモノマー濃度は、気相モノマー中のプロピレン濃度および圧力の増加により増大し、温度の増加により減少する。プロピレン量は、気相モノマーのプロピレン濃度とともに加速的に増大するが、テトラフルオルエチレン量は気相モノマー組成によらず一定であった。粒子中のモノマー組成は気相モノマー組成に依存するが、気相モノマーのプロピレン濃度が10%の条件下圧力や温度にほとんど依存せず、粒子中のモノマーのプロピレン濃度は約17%の一定値を示した